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とうとう始まるパラレル連載スザルルSS。 ぼくらは1
「ええと、急に呼び出しちゃってごめん」
ああ、この目の前の男はきっと、今までの他の輩と同じ目的で此処に呼び出したのだろう。
人気の無い、赤茶けた土が踏み固められている体育館裏。なんてベタな。
土色と言うよりも、栗色と呼ぶにふさわしい目の前のほわほわもこもこの頭をした、若干童顔気味の青年が、覚悟を決めたようにキッとこちらを見た。
「僕と付き合ってくだ…」
「断る」
言い終わる前に、遮るようにして凍て付く言葉を吐いた。
え?と目を白黒させている彼の横をスイと通り抜けて、涼しい顔で校門へと向かう。
しかしその実、腹は煮え繰り返っていた。
何故男である自分が、こんな目に遭わなければならないのか。
今までもこんなことがあった。理由を尋ねてみると可愛いからとか肌が白くて華奢だとか本人が気にしていることをズケズケと言ってくれた。自ら望んでこんな容姿をしている訳ではない。このような長身痩躯な体など、願い下げである。
どうせ似たような理由で告白などという愚行を行った良く分からない男の言葉など、聞く気は無かった。
放心していたらしい青年は、やっと意識を取り戻したらしく俺を追ってきた。
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
「待たない」
「じゃあそのまま聞いて」
「聞かない」
「じゃあ手紙で…」
「読まずに破って捨てる」
「~ッ、ルルーシュ!」
どうしてファーストネームで呼ばれなければならないのか。
仄かに不快感を感じて、くるりと男の方を振り返った。
「おい、」
「あ、やっとこっち見てくれた」
嬉しそうに言う男とは対照的に、ルルーシュの不機嫌は段々と顕著になってきた。
「質問がある」
「うん?なぁに」
ニコニコと機嫌良く男は笑う。その姿はゴールデンレトリバーを彷彿させた。
先程振られたことも忘れたかのように見える。
「お前は、どうして俺に告白しようと思った?」
「好きだからに決まってるでしょ」
「じゃあ俺の、何処らへんが好きなんだ」
今までの男達にした質問と、同じ事を聞く。
どうせはまた同じ答えが返ってくるのだろうけれど。
大した期待もせずに、腕組をしてじっと男を見た。
青年は少し困ったように頬を掻きながら、口を開いた。
「え、好きなところ…?全部、って答えは当然ダメなんだよね」
ううん、と悩んでから、あ、と声をあげた。
表情もコロコロ変わる。忙しい奴だ。
「放って置けなかったから、かな?あと、僕に優しくしてくれた」
優しくした?
全く、記憶に無い。
「人違いじゃないのか?」
「ありえないよ、そんなこと。僕に優しくする人なんて、この学校中で君くらいだよ」
「…なんでだ?」
「え、何でって…」
答えに窮して、彼は眉尻を下げた。なんて情けない顔だろう。
「…僕のこと知らない?」
「知るわけ無いだろうが」
「本当に?」
「くどい!」
「…僕は、枢木スザク。ねぇ、僕と付き合ってよ」
「さっき答えただろうが!」
めげない男、もとい枢木スザクと言う人間に苛立ちを込めて叫ぶ。
るるーしゅー…と、これまた情けない声を枢木スザクは出した。なんなんだこいつは。
「あそこまで即答しなくても良いじゃないか…」
「良く知りもしない奴と、付き合う気は無い。それに俺は男だ!」
「じゃあ、これから知っていけば良いじゃないか。ね?男だって事くらい、分かってるよだってここ男子校だし」
正論なのだと受け止めるべきなのか。まず、俺が男子校にいることが間違いなのか。
段々分からなくなってきた。
男子校では、勿論女など居ない。その為、女に飢えた男がアブノーマルな方向に走ることがある。だから大体『告白』なんていう物をしてくる男は、皆飢えた目をしているものなのである。しかし目の前の男は、『飢えた』目はしていなかった。何処までも透き通った、緑色。
「…お前、本気か?というか、頭大丈夫か?」
飢えた目をしていない事と、何処までも明るい男の言葉の調子が不思議でならない。こんなことは初めてだ。寧ろ、他人にこんな純粋な疑問などはじめて持った。
「本気だよ?僕は、君と恋人になりたい」
何処までも真摯な言葉。何処までも柔らかい表情。頭がくらくらした。疲れてるのかも知れない。
「…そうか、分かった。…お前と、付き合ってみることにする」
「へ?」
ほんの気まぐれだった。もう少しだけ、この不可思議な青年、枢木スザクという人物について知りたいと思ったのだ。
つい先程までは、そんな気など無かったというのに。
「え、いいの?本当に?」
「ああ。…だが、条件がある」
「うん、何?」
信じられない、と顔にでかでかと書いた枢木スザクは、驚きのままに聞き返した。
「俺が良いというまで、絶対変なことはするな!それと、このことは秘密だ。分かったな?」
「うん!分かった。変なことって、キスとかセックスとか?」
「バッ…」
かぁ、と顔が赤に染まっていくのが分かった。なんの臆面もなく、そんな言葉を発するとは。いや、男同士の会話で下ネタなど普通なのだが、そうなのだが、ルルーシュは決して『普通』ではなかった。下ネタを含む会話など、殆どしたことが無い。
「変なことを、言うな!」
「変かなぁ?あ、でも手を繋ぐくらいなら良いよね?」
「…あ、あぁ…」
「良かった!」
ぱぁ、と輝くような笑顔を見せ、そしてルルーシュの手を枢木スザクは取った。
「ちょ、おい!枢木スザク!」
「フルネームなんかじゃなくって、スザクって呼んで?」
幸せそうに笑うスザクは、ルルーシュの知っている誰とも違う匂いがした。そして、手のひらがとても温かい。その温度が、心地よいとほんの少し、本当にちょこっとだけ感じた。不本意ながら。
「夢みたい。君と付き合えるだなんて」
浮かれ気味の男に半ば引き摺られるようにして歩く。他人から見たら、仲の良い友人に見えるかもしれない。
「…そんなに嬉しいことなのか?」
「うん!凄く!」
栗色の髪を揺らしてこちらを見た彼は、やっぱり犬のようだった。
随分と大きな犬に懐かれてしまった。
しかし、決して不快だとは思わなかった。俺は、結構犬が好きなのだ。
「よろしくね、ルルーシュ!」
そう告げた彼の顔は、夕日のせいで赤く染まって見えた。
続く
@…@
ギアスのパラレル書いたの初めてです。
いつもと文の書き方変えてみた(止めときゃ良いのに)
勝手が分からない…。次はリヴァルとか出てきます。リヴァル書いたの初めてとか言う。
彼はものっそい良いキャラだと思う。
H19.8.13 惰眠マンデイ *モルヒネ
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プロフィール
HN:
モルヒネ
年齢:
33
性別:
女性
誕生日:
1991/03/22
職業:
学生
趣味:
落書き、妄想。
自己紹介:
ギアス、リボーン、BASARAを愛してます。
妄想癖が激しい。と言うより酷い。
ネット依存症で自傷行為の激しいネガティバー。
小説を書くのと、絵描きは本当に適当。
狂気とか目玉とか青白い手とかを本当に愛するちょっとイカレたコ。
それでも意外とハイテンションな私です^^
妄想癖が激しい。と言うより酷い。
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